プロトタイプパターンとは?
意味・定義
プロトタイプパターンは、オブジェクト指向プログラミングにおいて新しいオブジェクトを生成する手法の一つです。このパターンでは、既存のオブジェクトをコピーして新しいオブジェクトを作成します。これにより、オブジェクトの初期化にかかるコストを削減し、必要な属性やメソッドを持った状態で新しいインスタンスを容易に作成することが可能になります。特に、同じようなオブジェクトを多数生成する必要がある場合に有効です。
目的・背景
プロトタイプパターンは、オブジェクトの生成時に生じる性能のボトルネックを解消するために設計されました。一般的に、オブジェクトを新たに生成する際には、コンストラクタを通じて多くの初期化処理が行われます。しかし、これが頻繁に行われると、システム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。プロトタイプパターンを用いることで、既存のオブジェクトを基に新しいオブジェクトを作成し、初期化の手間を軽減しつつ効率よく管理できる仕組みを提供します。
使い方・具体例
- 既存のデータオブジェクトを基に、新たなデータセットを生成する際に使用します。たとえば、顧客情報を持つオブジェクトから新たな顧客オブジェクトを作成し、特定の属性だけを変更することができます。
- ゲーム開発では、敵キャラクターの基本プロトタイプを作成し、それを複製して異なる能力や属性を持つ敵キャラクターを生成することができます。
- UIコンポーネントのライブラリにおいて、基本的なボタンスタイルをプロトタイプとして作成し、そのスタイルを元に異なるサイズや色のボタンを簡単に作成することがあります。
- シミュレーションソフトウェアにおいて、同じタイプのオブジェクト(例えば車両)を多数生成する必要がある場合、プロトタイプを利用して効率的に大量のオブジェクトを作成します。
関連用語
まとめ
- プロトタイプパターンは、既存のオブジェクトを基に新しいオブジェクトを生成する手法です。
- オブジェクト生成時の性能向上を図るために開発され、初期化コストを削減します。
- ゲーム開発やUI設計など、さまざまな場面で効率的に利用されます。
現場メモ
プロトタイプパターンを導入する際には、オブジェクトの状態を正確にコピーできるかが重要です。特に、参照型の属性を持つオブジェクトでは、コピー時に意図しない副作用が生じることがあります。これを避けるためには、深いコピーを実装することが必要です。