シングルトン

シングルトンとは?

意味・定義

シングルトン(Singleton)とは、特定のクラスのインスタンスがただ一つしか存在しないことを保証するデザインパターンのことです。このパターンを採用すると、システム内でこのクラスのオブジェクトが必要な場合に、常に同じインスタンスが返されるため、リソースの無駄遣いを防ぎます。たとえば、ログ出力や設定情報の管理など、グローバルに一つの状態を保つ必要がある場合に適しています。

目的・背景

シングルトンは、アプリケーション全体で共有されるリソースを効率的に管理するために生まれました。複数のインスタンスが存在することによって生じる競合や、一貫性の欠如を防ぐためです。特に、設定情報や接続プールなど、アプリケーションが頻繁にアクセスするデータを一元管理することで、パフォーマンスの向上やメモリ使用量の削減が可能になります。システムの整合性を保ちつつ、必要なデータへのアクセスを簡潔にするために重要な役割を果たします。

使い方・具体例

  • アプリケーション起動時に、シングルトンのインスタンスを生成し、必要な設定情報を読み込む。
  • データベース接続を管理するクラスでシングルトンを用いて、接続を一つに制限し、リソースの競合を防ぐ。
  • ログ出力専用のクラスをシングルトンとして実装し、一貫したログ形式を保ちながら出力先を管理する。
  • グローバルなキャッシュ管理をシングルトンで行い、データの重複を避けてメモリの使用効率を高める。
  • アプリケーション全体における状態管理をシングルトンで行い、常に最新の状態を保持する。

関連用語

まとめ

  • シングルトンは、特定のクラスのインスタンスが一つだけであることを保証するパターンです。
  • リソースの無駄遣いや競合を防ぐため、共有リソースの管理に有効です。
  • 設定情報やデータベース接続など、グローバルな状態を一元管理する際に役立ちます。

現場メモ

シングルトンを導入する際には、実装の際に注意が必要です。特に、テストの際にモックを使用することが難しくなる場合があります。また、スレッドセーフでないシングルトンの実装は、マルチスレッド環境において予期しない挙動を引き起こす可能性があります。適切なロック機構を用いることが大切です。